生成AIと著作権について、文化庁が示す考え方、学習と生成でのOK/NG、侵害の判断基準、AI生成物は著作物になるか、などについてまとめました。
文化庁が示す生成AIと著作権
※この記事は文化庁の公表資料をもとにしています。個別ケースの判断は状況によって変わります。
前提
「考え方」それ自体は法的な拘束力を有するものではなく、また現時点で存在する特定の生成AIやこれに関する技術について確定的な法的評価を行うものではありません。
出典:文化庁「AIと著作権に関する考え方について【概要】」(2024年4月)
文化庁の資料は考え方を示すもので、法的な拘束はないと記載があります。著作権の最終的な判断は、個別に裁判所が行います。
資料
- AIと著作権に関する考え方について(2024年3月15日)
- AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(2024年7月31日)
書作権侵害かどうかの判断軸
分析・学習のためなら原則OK
AI開発のような情報解析等において、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為(非享受目的の利用行為)は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能とされています。
他人の作品をAIの学習に読み込ませること自体は、原則として著作権者の許可なく認められています。
ただし、以下の様な場合は対象外です。
- 「享受」とは、作品を見て楽しむことを指すので、作品を楽しむ目的がある場合は対象外
- 「分析・学習のため」を盾にして、権利者のビジネスを壊すような場合も対象外(例えば、情報解析用に販売されているデータベースの著作物を、許可なくコピーしてAIの学習に使う、など)
特定の作品の狙いうちはNG
著作権法は「創作的表現」を保護し、「アイデア」は保護しないため、「作風」が「アイデア」である場合、そのような「作風」が共通したとしても、著作権侵害とはなりません。 その一方で、特定のクリエイターを狙い撃ちしたAI学習には(中略)法第30条の4が適用されない場合があると考えられます。
ある画風や作風をまねること自体は、ただちに著作権侵害になりませんが、「特定の作家の作品をまねさせる目的」で学習させる場合は、許可なしでは認められない場合があります。
著作権侵害は人が作った場合と同じ基準で判断
AIを利用して生成した画像等をSNS等にアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の基準で、侵害となるか否かが判断されます。
生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が共通していること)及び依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められ、かつ、権利制限規定の対象外である場合は、既存の著作物の著作権侵害となります。
AI生成物でも、「類似性」と「依拠性」が認められると著作権侵害となります。
- 類似性
できあがったものが、元の作品とそっくりなこと - 依拠性
元の作品をもとに(まねて)作ったこと
さらに「依拠性」については次のように示されています。
生成AIの開発・学習段階で当該既存の著作物が学習されていた場合は、AI利用者が既存の著作物を認識していない場合でも、通常、依拠性があったと推認される。
これは、自分が元の作品を知らなくても、その作品がAIの学習に使われていれば、「まねて作った」とみなされることがある、ということです。
「知らなかった」では済まされないので、公開・販売する際は、似た作品がないかの確認が必要です。
AI生成物そのものは著作物になるか?
著作物として認められないケース
AIが自律的に生成したものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。
人がほとんど指示を与えない場合(簡単な指示やボタンを押しただけのもの)には、著作物に該当しません。
著作物として認められるケース
人が思想又は感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。
人がAIを「道具」として使用したといえるか否かは、人の「創作意図」があるか、及び、人が「創作的寄与」と認められる行為を行ったか、によって判断されます。
著作権に該当するかは、「AIに任せきりにせず、人がどんな意図で、どれだけ手を加えて工夫したか」で判断されます。
どこまで手を加えれば著作物になるか?は、個別のケースごとに判断されるようです。
著作権の相談窓口
AIと著作権に関する問題やトラブルについて、弁護士に相談できる相談窓口が設置されています。
よくある質問(FAQ)
Q. AIの学習に他人の作品を使うのは違法ですか?
原則として、著作権法第30条の4により、作品を楽しむ目的ではなくAIに分析させる利用(非享受目的)であれば、許可なく使えます。ただし、特定の作家の作品だけを狙って作風をまねさせる学習や、権利者の利益を不当に害する場合は、許可が必要になることがあります。
Q. AIで作った画像や文章をそのまま公開して大丈夫ですか?
元の作品と表現がそっくり(類似性)、元の作品をもとに作った(依拠性)などが認められると、著作権侵害になる場合があります。さらに、元の作品がAIの学習に使われていれば、作った人がそれを知らなくても依拠性が認められることがあるとしています。公開・販売の前に確認が必要です。
Q. AIで作ったものに著作権は発生しますか?
人が道具としてAIを使い、創作の意図をもって工夫を加えていれば、著作物として認められることがあります。簡単な指示でボタンを押しただけのものは、著作物と認められない場合があります。判断はケースごとに変わります。